東京の立ち食いうどんといえば、かつては甘辛い濃口醤油の関東風つゆに茹で置きの柔らかい麺というスタイルが主流でした。その固定観念を根底から覆したのが、2010年に品川区・五反田のガード脇に誕生した「おにやんま」です。創業者の実家である香川県丸亀市の名店で培われた技術をベースに、本場の讃岐うどん文化をそのまま東京の都心に移植しました。
人気の第一の要因は、妥協を許さない出汁へのこだわりです。香川県伊吹島産の厳選された白口煮干し(伊吹いりこ)を惜しみなく使用し、利尻昆布の旨味とブレンドした黄金色のスープは、雑味や生臭さが一切なく、芳醇な香りと力強いコクが喉を突き抜けます。この出汁のクオリティは、一杯千円以上をとる高級和食店や専門店と比較しても全く遜色がありません。
さらに現場で客の視線を奪うのが、狭小な厨房内で絶え間なく行われる製麺作業です。店内の小型製麺機で仕込まれた麺は、客の回転に合わせて次々と大釜に投入され、常に「打ち立て・切り立て・茹でたて」の状態で丼へと盛られます。冷水でキュッと締められた麺は、外側が滑らかで中心部にしなやかな弾力を備えており、本場讃岐の「コシ」の神髄を体感させてくれます。
もう一つの決定的な強みは、都市生活者のリズムに完璧に合致した「スピード」にあります。注文から提供までの時間は驚くべきことに平均数十秒から1分程度。この卓越したオペレーションと圧倒的な味の良さが共鳴し、一度訪れた者を瞬く間にリピーターへと変えていくのです。