語彙の理解を深める上で、対義語や類語、そして関連する慣用句のルーツを辿る作業は非常に有益です。「不要」と「不用」の対照的な性質は、対義語を並べてみることでより一層鮮明になります。
「不要」の対義語は、言うまでもなく「必要(ひつよう)」「要(よう)」です。「生存に不可欠である」「条件を満たすために要求される」という対立軸が存在します。類語・言い換え表現としては、「無用」「余計」「差し支えない」「及びに及ばない」などが挙げられます。
一方、「不用」の対義語は「有用(ゆうよう)」「重宝(ちょうほう)」「使用(しよう)」となります。何らかの使い道があり、役に立っている状態と対峙しているのです。類語としては「廃物」「無用」「無駄物」「がらくた」「ジャンク品」といった言葉が連なります。
この「不用」を用いた最も有名な慣用句が、「不用の長物(ふようのちょうぶつ)」です。現代の日常会話でも「買ったはいいが、すっかり不用の長物になってしまった」といった使われ方をします。
「長物」とは本来、背丈よりも長い武器(槍や薙刀、大太刀など)や、無駄に長い器具を指していました。天下泰平の世になり、平和な生活の中では、長大な武器は持ち歩くこともできず、部屋に置いても場所を取るばかりで、邪魔にしかなりません。そこから転じて、「あっても何の役にも立たないばかりか、置く場所を取ってかえって邪魔になるもの」を指す故事として定着しました。
ここで重要なのは、「不要の長物」と書くのは明確な誤表記(間違いやすい日本語の表記)であるという点です。長物は「使い道がないこと(機能の欠落)」を批判されているため、「用」の字を用いるのが言語学的に正しい形です。試験や教養が問われる文書作成では厳密にチェックされるポイントですので、確実に押さえておく必要があります。