脳内で言葉の検索と出力をコントロールしている司令塔が「前頭葉」だ。東北大学加齢医学研究所をはじめとする研究機関の分析によれば、固有名詞は「犬」や「机」といった一般名詞に比べて概念的な繋がりが薄く、脳内ネットワークにおける結合が非常に繊細で途切れやすい特徴を持つ。
日本神経学会の専門家も指摘するように、加齢や疲労によって神経伝達回路の効率がわずかに落ちると、真っ先に影響を受けるのがこの固有名詞の検索機能である。リンゴを見て「赤い」「甘い」「果物」といったイメージと直結する一般名詞はスムーズに出てくるが、独自の記号である人名や地名は、前頭葉が強い負荷をかけなければ引き出せない仕組みになっている。