1974年に中区基町の中央公園内に開館した広島市立中央図書館は、開館から約50年が経過し、外壁や設備の老朽化、バリアフリー対応の遅れ、収蔵能力の限界といった深刻な構造的課題を抱えていました。当初は現地での建て替えや大規模改修も検討されていましたが、広島市中央公園の再整備事業(サッカースタジアム建設およびPark-PFIによる賑わい創出)が本格化する中で、公園全体の空間再編と連動した見直しが急速に進みました。
そのなかで浮上したのが、JR広島駅南口に位置する商業施設「エールエールA館」(百貨店・福屋広島駅前店などが入居)の空きフロアへの移転案です。広島市が提示した主な移転理由は、以下の3点に集約されます。
第一に、圧倒的な交通利便性の確保です。JR各線、広島電鉄、路線バスが集結する広島駅前に直結することで、市内全域および近隣市町からのアクセス性が格段に向上します。第二に、駅前商業エリアの活性化です。若者やビジネスパーソン、ファミリー層の日常的な来街を促し、百貨店フロアとの相互送客を狙う公民連携の都市モデルを描きました。第三に、財政負担の平準化と早期実現です。公園内で新規建設を行う場合に比べ、既存の床を活用することで初期整備コストを抑え、早期の供用開始を目指せるという試算が示されました。