シャトーブリアンという名称は、19世紀フランスの作家・政治家フランソワ=ルネ・ド・シャトーブリアン子爵に由来すると言われる。彼の専属料理人モンミレイユが、分厚いヒレ肉をステーキにして供したことからこの名が付いたとされるが、実はこの由来には諸説ある。料理史の専門家の間では「シャトーブリアンという地名や料理法から派生した」という説も根強く、肉そのものの名前ではないという指摘もある。
重要なのは、日本で「シャトーブリアン」というと肉の部位名として定着している点だ。精肉店や通販サイトでは「ヒレ肉の中央部」という意味で商品名に使われる。フランス料理の世界では「シャトーブリアンステーキ」という調理法・料理名としての側面が強く、厚切りのヒレ肉を炙ってからオーブンで仕上げるスタイルを指す。日本の肉文化においては、このあいまいさが消費者の混乱を生んでいるのも事実だ。