アメリカのマテル社が発売した着せ替え人形『バービー』は、時代ごとに変化する女性像の象徴として世界中で愛されてきた。世界的大ヒットを記録した映画『バービー』により、ポップな世界観や多様な価値観を持つ女性像が再び脚光を浴びたことは記憶に新しい。しかし、アンジェリカが体現する「人間バービー」の文化は、また異なる文脈を持っている。
かつて話題を呼んだヴァレリア・ルキアノワがスピリチュアルな世界観へ傾倒していったのに対し、アンジェリカはInstagramを中心に、洗練されたポートレートや自身のリアルなルックスを提示し続けている。彼女のInstagramアカウントには世界中から多くのフォロワーが群がり、投稿される写真の一枚一枚が瞬時に拡散される。人形という無機質なアイコンを生身の人間が演じることで生まれる歪みな美は、デジタル画像が氾濫するソーシャルメディア時代において、人々の強い好奇心を刺激し続けているのだ。