主役の谷田部みね子を演じた有村架純の演技は、キャリアの中でも屈指のハマリ役として評価が高い。特別な才能があるわけでも、劇的な運命を背負っているわけでもない。ただ愚直に、家族のために働き、友人とともに泣き笑いする「どこにでもいる女の子」を、彼女は圧倒的な親近感をもって演じ切った。
体重を増やして泥くさい農家の娘になりきった序盤から、東京の街になじみ、少しずつ大人の表情を見せるようになる中盤以降のグラデーション。表情の些細な陰影で感情を語るパフォーマンスは、彼女が後に日本を代表するトップ女優へと上り詰める決定的な礎となった。