「唐揚げは低糖質だから、糖質制限中はいくら食べても問題ない」という認識は、ネット上の情報が招いた危険な誤認の一つです。なぜ糖質が低いにもかかわらず、唐揚げを食べ続けると太ってしまうのか。その生理学的な背景には、三大栄養素の代謝バランスが深く関係しています。
唐揚げでダイエット中に太る理由の筆頭に挙げられるのが、「高脂質と糖質の同時摂取」がもたらす相乗作用です。純粋なケトジェニックダイエットのように、1日の糖質摂取量を極限(20〜30g以下)まで削ぎ落としている状態であれば、身体は脂質を主たるエネルギー源として燃焼させます。しかし、唐揚げの衣や下味から中途半端に糖質が入ってくると、体内では微量であってもインスリンが分泌されます。
肥満ホルモンとも呼ばれるインスリンが分泌された環境下では、血中のブドウ糖が優先的にエネルギーとして消費され、同時に摂取した膨大な揚げ油の脂質は、そのまま中性脂肪として体内に蓄積されるルートを辿ります。さらに、唐揚げ特有のニンニクや生姜を効かせた濃い醤油ダレは、脳の報酬系を強力に刺激し、米やビールといった他の高糖質食品への強い渇望を引き起こすトリガーとなります。
もう一つの落とし穴は、調理に使われる揚げ油の劣化です。外食や総菜、古い油で揚げられた唐揚げに含まれる酸化脂質は、肝臓に負担をかけ、基礎代謝の低下や慢性的な炎症を引き起こします。結果として「糖質を制限しているはずなのに痩せない」という代謝の停滞期に陥ってしまうのです。