日本一の桃の生産地として知られる山梨県。現地で長年高品質な桃を栽培する桃農家は、「糖度だけに惑わされてはいけない」と口を揃える。光センサーや非破壊型の糖度計で計測される数値は確かに甘さの指標になるが、本当の美味しさは糖度と果肉の硬さ、そして香りの絶妙なバランスにあるのだ。
樹上でじっくり熟した桃は、特有の甘く濃密なアロマを放ち始める。パック越しでも鼻を近づけた時にふわりとフルーティーな甘香が漂うものは、果肉内部で糖分が十分蓄積されたサインだ。また、硬さについては「ガチガチに硬いもの」ではなく、優しく包み込んだときにわずかに手応えが柔らかく感じる程度が理想とされる。ただし、売り場で強く押すのは厳禁。傷みの原因になるため、指の腹で触れずに視覚と嗅覚をフルに活用するのがプロの流儀だ。