長らく「武士の頂点に立つ絶対的な支配者」として語られてきた職のイメージだが、歴史学の最前線では全く異なる知見が話題を集めている。権力構造の根幹にあったのは、武力そのものではなく「朝廷から軍事権を正当に委任された」という法制度上のロジックだった。
征夷大将軍という存在は、朝廷という既存の権力基盤を利用しながら、自らの軍事政権を正当化するための最強の「免罪符」に他ならなかった。教科書が描いてきたような「天皇対将軍」という単純な二元論ではなく、両者が相互に依存し合いながらシステムを維持していたという構造が、近年の研究でより鮮明になっている。権力の真実とは、力による支配ではなく、合法性の演出にあったのだ。