小名浜諏訪神社の起源は、鎌倉幕府が開かれて間もない建仁元年(1201年)に遡ります。公式発表資料および社伝によると、奥州岩城氏の支流とされる磐崎将監(いわさきしょうかん)が、諏訪大社より御分霊を勧請したことが始まりとされています。
当初は「岡小名宮ノ作」の地に創建され、現在もその地には礎石や小祠、そして「諏訪神社旧社跡」と刻まれた記念碑がひっそりと残されています。その後、南北朝時代の至徳2年(1385年)に至り、現在の鎮座地へと遷座されました。明治時代の近代社格制度においては「村社」に列せられ、名実ともに小名浜一円を守護する産土神としての地位を確立します。
特筆すべきは、農耕信仰と海洋信仰の見事な融合です。社伝や地域伝承によると、かつての農民や漁業従事者は、旧暦7月26日・27日に訪れる暴風雨の特異日を「諏訪荒れ」と呼び、八朔(二百十日や二百二十日)の台風襲来を前に、この神社へと集まり熱心に風鎮めの祈念を捧げてきました。山から吹き降ろす風を鎮める神の威光は、海に出る漁師たちにとって「時化を鎮め、命を守る海の神」へと自然にスライドしていったのです。