小野賢章の名を日本中に知らしめた原点は、間違いなく映画『ハリー・ポッター』シリーズの日本語吹き替えです。2001年の第1作『ハリー・ポッターと賢者の石』から、2011年の完結編『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』までの10年間、主演ダニエル・ラドクリフの声を全8作品にわたって担当しました。
子役吹き替えにおいて最大の壁とされる「声変わり」の時期を乗り越え、実年齢とともに少年から青年へと変化していくハリーの葛藤と成長を克明に演じきったことは、吹き替え史に残る金字塔と評されています。当時のインタビューでも「自分の声の変化に戸惑いながらも、ハリーと一緒に大人になっていった感覚がある」と本人が振り返る通り、役と演者が奇跡的なシンクロを遂げた10年間でした。
この大仕事を終えた後、声優・小野賢章の評価を不動のものにしたのが2012年放送開始のアニメ『黒子のバスケ』の主人公・黒子テツヤ役です。存在感が薄く影の薄い少年でありながら、内に秘めた熱い闘志を持つ特異なキャラクターを、過剰な芝居を削ぎ落としたナチュラルなトーンで表現。作品の大ヒットとともに、小野自身も一躍トップ声優へと躍り出ました。
その後も、以下のような幅広いジャンルで歴史的なキャラクターを演じ続けています。
- 『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』(ジョルノ・ジョバァーナ役):「このジョルノ・ジョバァーナには夢がある!」の名台詞に宿る気高さと冷徹な覚悟を見事に体現し、作品世界を牽引。
- 『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』(ハサウェイ・ノア役):大作ガンダムの主人公として、理想と現実の狭間で揺れ動く青年の内面を深みのある声で表現。
- 『SPY×FAMILY』(ユーリ・ブライア役):秘密警察としての冷酷さと、姉への盲目的な愛という極端な二面性をコミカルかつシリアスに演じ分け、新たなファン層を開拓。
- 『アイドリッシュセブン』(七瀬陸役):天真爛漫なセンターとしての輝きと持病を抱える繊細さを共存させ、ライブパフォーマンスでも観客を圧倒。