だが、この静かなブームの裏側には、気候変動がもたらす激しいサプライチェーンの地殻変動が横たわっている。
伝統的に極上のナナミントを世界へ送り出してきた北アフリカや地中海沿岸では、記録的な干ばつと熱波により収穫量が不安定な年が続く。そうしたなかで脚光を浴びているのが、日本の寒冷地だ。北海道北見市や富良野、さらには長野県の標高の高い高原地帯で、オーガニックな和ハッカやペパーミントを栽培する若手農家が急増している。
昼夜の激しい寒暖差は、葉の中に驚くほど濃密な精油を蓄えさせる。かつて世界市場を席巻した日本のハッカ産業のDNAを受け継ぎつつ、2026年のいま、持続可能なリジェネラティブ農業と結びついた「国産スペシャリティ・ミント」が、感度の高いバイヤーたちの間で高値で取引されている現実がある。