現在推進されている公的年金繰下げ受給制度は、受給開始を1か月遅らせるごとに0.7%増額される仕組みだ。仮に75歳まで繰り下げた場合、本来の65歳受給開始時に比べて最大84%の増額となる。これが80歳まで拡大されれば、試算上はさらに高い増額率が提示されることになる。
長寿化が進む中で「元気なうちは働き続け、後半に手厚い年金を受け取る」という生き方を選ぶ層にとって、この制度は大きなメリットになり得る。一方で、平均寿命や健康寿命の個人差、途中で病に倒れるリスクを考慮すれば、受給を遅らせるほど「受給総額で損をする」危険性も跳ね上がる。メリットとデメリットの表裏一体さが、議論を加速させる大きな要素だ。