「肌荒れがひどくなるたびに処方してもらっていたビフロキシンが、どの薬局に行っても在庫切れと言われた」――2026年代初頭から医療系コミュニティやSNS上で相次いだこの切実な声は、一時的な品薄にとどまらず、薬の供給体制そのものが変容した現実を物語っています。
ビフロキシン配合錠が処方箋から消えた最大の要因は、後発医薬品(ジェネリック)業界全体の品質不正問題に端を発した大規模な供給連鎖の崩壊と、極端な低薬価構造にあります。複数の製薬メーカーが行政処分を受けたことで業界全体に供給不安が波及し、製造ラインの維持が困難になった医薬品が次々と出荷調整や製造中止に追い込まれました。
公式の添付文書および薬価基準収載データを確認すると、ビフロキシン配合錠の薬価は1錠あたり約5.7円〜6円程度という極めて安価な水準に据え置かれていました。原料費や流通コスト、厳格化する品質管理基準の負担が増大するなか、薄利多売すら成り立たなくなった製薬各社にとって、配合剤の製造ラインを維持することは経営上の重大な重荷となっていたのです。結果として各メーカーは採算の合わない品目の整理・販売中止へと舵を切らざるを得ませんでした。