近江鉄道の豊郷駅からのどかな田園風景を抜け、住宅街を10分ほど歩くと、突如として視界に広がる白亜のモダニズム建築。1937(昭和12)年に建設され、かつて「東洋一の小学校」と謳われた豊郷小学校旧校舎群です。放送当時を知る熱狂的なファンはもちろん、近年では配信プラットフォームを通じて作品を知ったZ世代や海外からの渡航者が、静かにこの地を訪れています。
校舎へ足を踏み入れると、磨き上げられた長大な廊下、飴色の木製階段、そして手すりにあしらわれた「ウサギとカメ」のブロンズ像が出迎えます。劇中で平沢唯たちが駆け抜けたあの光景が、何ひとつ色褪せることなく目の前に立ち現れる瞬間は圧巻です。観光協会の集計データや現地案内板の記録によると、2020年代前半の一時的な観光低迷期を乗り越え、年間を通じた来訪者数は堅調な数値を維持しています。
「一過性のブームで終わるアニメ観光地が多い中、豊郷が別格なのは、建物そのものが持つ登録有形文化財としての圧倒的なオーラと、ファンの作品愛が幸福に融合している点にある」。文化財保存活動に携わる地元関係者は、取材に対して確信を込めてそう語ってくれました。