登戸駅に足を踏み入れた瞬間、誰もが童心に帰るような驚きに出迎えられる。小田急線の構内は、世界的漫画家である藤子・F・不二雄の代表作『ドラえもん』の世界観で徹底的に彩られているからだ。
駅名看板には首輪の鈴があしらわれ、エレベーターの扉はピンク色の「どこでもドア」。ゴミ箱の分別表示や待合室のベンチ、階段の壁面に至るまで、キャラクターたちのシルエットがさりげなく隠されている。小田急電鉄が仕掛けたこの大規模な空間演出は、単なるキャラクター装飾の域を超えている。改札を抜けてホームへ上がるわずか数十メートルの動線そのものが、まるでひとつのエンターテインメント体験のようにデザインされているのだ。発車ベルに耳を澄ませば、上りホームと下りホームで異なる歴代のテーマソングが流れ、慌ただしい通勤時間帯ですらふっと肩の力が抜けるような温もりを与えてくれる。