かつての大久保佳代子といえば、欲望に素直な肉食系キャラや、自らの容姿や独身生活をネタにしたキレのある自虐節が代名詞だった。しかし、近年の彼女のスタイルには確かな変化が見られる。単に自分や他者を落として笑いを取るのではなく、生きづらさを抱える現代人の滑稽さや弱さをそのまま受け入れ、笑いに昇華させる包容力が前面に出ている。
彼女の毒舌には決して棘が残らない。その理由は、根底に共演者や視聴者に対する観察眼と、人間味あふれるリスペクトが存在するからだ。時代がコンプライアンスや表現の配慮を厳格に求めるなか、彼女は誰かを傷つけることなく、ギリギリのラインで本音を突く技術を研ぎ澄ませてきた。