野口さんのミステリアスな日常を語る上で欠かせないのが、3年4組の誰よりもカオスでドラマチックな家族構成です。普段は感情を表に出さない野口さんですが、自宅では家族の強烈な個性に翻弄されたり、逆に冷ややかな視線を送ったりと多彩な表情を見せています。
最も視聴者に強いインパクトを与えているのが、高校生の兄である野口富士男(のぐち ふじお)です。太い眉毛といかつい顔つき、短気で威圧的な性格をしており、妹の笑子に対して何かと命令口調でパシリのように扱うなど、家の中では典型的な暴君として振る舞います。しかし、アイドル歌手(工藤静香など)に夢中になる純情な一面や、どこか抜けたコミカルな弱点を抱えているのが特徴です。
そして、富士男の存在を語る上で避けて通れないのが、恋人である彼女・カキエ(柿絵)の存在です。カキエは富士男と瓜二つの太い眉毛と厳めしい顔立ちをしており、性格も非常に勝ち気で攻撃的。初登場時にはまる子やたまちゃんを戦慄させました。しかし、富士男とカキエはお互いを「富士男くん」「カキエさん」と呼び合い、周囲の視線を全く気にせず甘いバカップルぶりを披露します。この異次元の光景を前に、野口さんが物陰から無言で観察し「クックックッ…」とほくそ笑む構図は、シリーズ屈指のキラーコンテンツとなっています。
一方で、野口さんの最大の理解者であり精神的支柱となっているのが、同居する祖父の野口笑助(のぐち しょうすけ)です。富士男とは対照的に底抜けに明るく、冗談やダジャレ、お笑い芸が大好きなおじいちゃんであり、笑子の「お笑い好き」のルーツはまさにこの祖父にあります。まる子を含めた3人で寄席に出かけたり、お笑い番組を熱心に鑑賞したりする姿は、作品屈指の温かい名シーンとして親しまれています。