写真集のリリース前後、ネットニュースやスポーツ紙、週刊誌の紙面を大きく賑わせたのが「橋本マナミ、ついにヘア解禁か」というセンセーショナルな噂でした。予約開始直後から大手通販サイトのランキングで上位を独占し、掲示板やSNSでは過激な表現の真偽をめぐる議論が白熱しました。しかし、実際に刊行された作品を客観的に検証すると、ネット上で飛び交った憶測と実際のビジュアルには明確な事実の違いが存在します。
結論から述べると、本作は完全な無修正ヘアヌードを目的とした写真集ではありません。篠山紀信氏の真骨頂である「陰影と構図を駆使した極限のイリュージョン」によって成立しているのが真相です。光が届かない闇のトーン、絶妙に配置されたシーツのしわ、濡れた髪の毛束や太ももの角度によって、人体の最もプライベートな境界線が見え隠れする極限のバランスが保たれています。
篠山氏の手法は、1991年に社会現象となった宮沢りえ氏の写真集『Santa Fe』や、1991年の樋口可南子氏の写真集『Water Fruit』でも遺憾なく発揮された、いわば「見せることによって隠し、隠すことによって想像力を極大化させる」という視覚芸術の極致です。単なる露出競争に走ることなく、鑑賞者の網膜に強烈な官能の残像を焼き付ける演出が施されていたからこそ、写真集は単なる消費物にとどまらず、現在も語り継がれるアートピースとしての評価を不動のものにしました。