体温計で測定される「体温」と、自分が肌や体内で感じる「熱感」には、医学的に大きな乖離が生じることがあります。風邪などの感染症によって引き起こされる発熱(Fever)は、脳の視床下部にある体温調節中枢が「設定温度(セットポイント)」を引き上げることで生じます。この場合、体温計の数値は明確に上昇します。
一方で、熱はないのに体に熱がこもる現象は、専門的にはうつ熱(Hyperthermia)や知覚異常、あるいは局所の血流障害によって引き起こされるケースが大半です。うつ熱の症状と特徴は、体温調節中枢の設定温度は平熱(約36.5〜37.0度)のまま保たれているにもかかわらず、外部の熱環境や体内の産熱過多、あるいは放熱システムの機能低下によって、余剰な熱エネルギーが体外へ逃げ場を失ってしまう点にあります。
体に熱がこもる熱はない理由として最も頻度の高い要素が、皮膚表面への血流配分の乱れです。人間は通常、体温が上昇すると自律神経が血管を拡張させ、皮膚表面へ血液を集めて外気へ熱を逃がします。しかし、何らかの理由でこの回路が遮断されると、内臓や筋肉で作られた熱がコア(深部)や体内に閉じ込められ、体感としての激しい灼熱感や息苦しさとなって現れます。