冷却水漏れが確認された際、真っ先に疑うべき心臓部のパーツが「ウォーターポンプ」です。エンジンの回転を利用して冷却水を高圧でエンジンブロックやヒーターコアへ循環させる循環器系の中枢ですが、ベアリングやメカニカルシールの消耗により、走行距離8万〜10万km前後で劣化の限界を迎えます。
熟練の整備士が口を揃えるウォーターポンプ故障の前兆には、目に見える水漏れ以前に明確なサインが存在します。 エンジン回転数に比例してボンネットから「ガラガラ」「シャリシャリ」「キーキー」という金属同士が擦れ合うような異音が発生している場合、内部ベアリングのガタつきが疑われます。さらに、ポンプの小さな隙間から漏れ出した微量の冷却水がエンジンの排気熱で蒸発し、ボンネットを開けた瞬間に甘い薬品臭が鼻をつくようになります。
この初期警告を無視して走り続けた末に待っているのが、戦慄すべきエンジンオーバーヒートのリスクです。冷却水が規定量を下回ると熱交換が行われなくなり、シリンダーヘッドの温度は一気に120度〜150度以上へと跳ね上がります。水温警告灯(Hマークや赤のランプ)が点灯した段階でエンジンを止めなければ、アルミ製のエンジンヘッドが熱変形を起こしてガスケットが吹き抜け、オイルと冷却水が内部で混濁。最悪の場合はピストンが焼き付き、50万円〜100万円以上に及ぶエンジン丸ごとの載せ替えを強いられる結末を迎えます。