軟骨無形成症の根本原因は、第4染色体短腕に位置するFGFR3(線維芽細胞増殖因子受容体3)遺伝子の機能獲得型変異にあります。正常な骨形成のプロセスでは、軟骨細胞が増殖し骨へと置き換わる「軟骨内骨化」が行われますが、FGFR3受容体が過剰に活性化されることでシグナル伝達が常にブレーキを踏み続けた状態となり、長管骨の伸長が強く抑制されます。
遺伝形式としては常染色体顕性遺伝(優性遺伝)に分類されます。しかし、臨床現場の統計データによると、新規に診断される赤ちゃんの80%以上は両親の身長が標準的な「突然変異(孤発例)」によって誕生しています。父親の精子形成過程における高年齢化が変異発生率と相関するという研究報告もありますが、誰にでも起こり得る偶発的な遺伝子変異です。
遺伝確率についての正確な理解は以下の通りです:
- 両親ともに非保因者の場合:突然変異による発症であり、次の子供が同症となる確率は一般的な発症頻度と同等(約2万分の1以下)。
- 片親が軟骨無形成症の場合:子どもへ遺伝する確率は各妊娠につき50%(2分の1)。
- 両親ともに軟骨無形成症の場合:同症を受け継ぐ確率が50%、健常な低身長でない確率が25%、両親双方から変異を受け継ぐ「ホモ接合体」の確率が25%となります。なお、ホモ接合体は骨形成不全が極めて重篤化し、生後早期に致死的な経過をたどることが知られています。