シン・イェウンのキャリアを語る上で欠かせないのが、2018年に配信された伝説的ウェブドラマ『A-TEEN(エイティーン)』です。無愛想ながら友達思いのクールな女子高生ド・ハナ役を演じた彼女は、当時のティーンエイジャーの間で社会現象を巻き起こしました。「ド・ハナ病」と呼ばれるショートカットヘアやリップメイクの流行を生み出し、デビューと同時に「10代のワナビー(憧れの象徴)」として一気にスターダムへ駆け上がります。
順風満帆に見えた船出でしたが、その後の地上波ドラマ進出では厳しい試練に直面しました。『彼はサイコメトラー』『おかえり〜ただいまのキスは屋根の上で!?〜』『場合の数』と立て続けに地上波の主演に抜擢されたものの、視聴率は1%台に落ち込むなど低迷。当時のバラエティ番組では、作品を背負う主役としての重圧から「すべて自分の責任のように思えて眠れない」と大粒の涙をこぼし、カメラの前で苦悩を吐露する場面もありました。
そうした暗雲を完全に払拭した転機こそ、Netflixシリーズ『ザ・グローリー 〜輝かしき復讐〜』でした。彼女が演じたのは、主人公を凄惨ないじめで追い詰める加害者グループの主犯格、パク・ヨンジンの若き日の姿です。美容用のヘアアイロンで同級生の皮膚を焼きながら、無邪気で冷酷な笑みを浮かべる怪演は、視聴者に強い恐怖を植え付けました。清楚なイメージを粉々に破壊する捨て身の演技は、「美少女アイドル女優」から「本物の実力派役者」への脱皮を決定づけました。
勢いは止まらず、2026年の主演時代劇『コッソンビ熱愛史(コッソンビ 二花院の秘密)』では、宿屋を営みながら運命の秘密に立ち向かう芯の強いヒロイン・ユン・ダノを瑞々しく好演。さらに大型話題作『ジョンニョン:スター誕生』では、主演のキム・テリと火花を散らすライバル役ホ・ヨンソを熱演しました。厳しい名門出身のエリート国劇研究生として、血のにじむようなパンソリ(韓国伝統歌劇)や舞踊の猛特訓を経て披露したステージシーンは、業界関係者から満場一致の絶賛を集めました。