重厚なヒューマンドラマでありながら、一瞬たりとも気が抜けない息詰まるサスペンスの要素が高次元で融合している点も、本作の大きな特徴だ。過疎化が進む街で起きる不可解な事件。店を訪れる人々の秘密と、店主がひた隠しにする過去が複雑に絡み合い、物語は予想だにしない結末へと加速していく。
観客は物語が進むにつれ、誰が善で誰が悪なのかという倫理の境界線を失っていく。張り巡らされた伏線と、人間の弱さや愛おしさを丁寧に拾い上げる脚本の巧みさ。単なる犯人探しにとどまらず、社会から取り残された者たちの渇望を浮き彫りにするプロットは、観終わった後に深い余韻を残すに違いない。