良かれと思って行っている日常のセルフケアが、実は頸椎や血管に致命的なダメージを与えているケースがある。特に以下の行為は直ちに中止すべきである。
1つ目は、首を勢いよく回したり、ボキボキと音を鳴らしたりする行為である。頸椎の中には脳へ血液を送る椎骨動脈(ついこつどうみゃく)が通っている。急激な回旋や強い衝撃は、動脈の内膜を傷つけて「椎骨動脈解離」を引き起こすリスクや、頸椎関節を摩耗させて骨棘(こつきょく)を形成する危険性を孕んでいる。
2つ目は、「寝違え」の急性期に行う無理なストレッチやマッサージである。寝違えは筋肉や靭帯が軽度の肉離れを起こしている炎症状態である。この時期に可動域を広げようと無理に首を伸ばすと、炎症が拡大して回復が大幅に遅れる。発症直後は患部を安静に保ち、首ではなく脇の下や胸郭周辺の筋肉を優しく緩めるのが安全かつ効果的な対処法である。
3つ目は、硬いボールなどを首の骨の真後ろに当てて体重をかける行為である。首の骨(頸椎)の棘突起やデリケートな靭帯を直接圧迫すると、神経を傷つけ、手のしびれや筋力低下を誘発する恐れがある。ツボ押しを行う際は、必ず骨そのものを避け、筋肉の柔らかい部分を指の腹で押すのが鉄則である。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
首の付け根のセルフストレッチは万人に一律で推奨できるものではない。自身の状態を見極めた上で取り組む必要がある。
ストレッチを積極的に行うべき人:
- 夕方になると首から肩にかけて重だるさが増すデスクワーカー
- スマホを長時間見た後に目の奥が重くなり、首の付け根が張る人
- 首をゆっくり倒したときに「痛気持ちいい伸び感」が得られる人
セルフケアを中止し医療機関を受診すべき人:
- 首を後ろに倒した際、腕や指先に電気が走るようなしびれ・放散痛が出る人
- 安静にしていてもズキズキとした激痛が治まらない人
- 発熱、激しいめまい、吐き気、手足の動かしにくさを伴う人