前回の試合、対戦相手がリング中央で仕掛けたプレッシャーを一瞬のステップバックで外すと、即座に左ストレートが顎を打ち抜いた。倒れ込む相手に追撃のパウンドを浴びせるスピードは、まさに野生の肉食獣そのものだ。観客席からは悲鳴にも似た歓声が上がり、解説陣も一瞬言葉を失った。
打撃の威力もさることながら、特筆すべきは一切の迷いがない決断の早さだ。相手がパンチを繰り出すコンマ数秒前の「タメ」を完全に見切り、その踏み込みに合わせて最短軌道で拳を叩き込む。相手セコンドから出される指示を無効化するほどの展開速度は、対戦相手にとって恐怖以外の何物でもない。