地域区分における最大のトピックが、「三重県は東海地方か近畿地方か」という帰属論争です。結論から述べると、三重県は「制度上は近畿であり、経済・情報の実態は東海である」というハイブリッドな立ち位置をとっています。
法的な根拠として、近畿圏整備法(昭和38年法律第129号)の第2条において、三重県は明確に「近畿圏」の一部として定義されています。関西広域連合への連携や、NHK大阪放送局が制作する近畿ブロック番組に三重県の情報が取り上げられるのはこのためです。また、伊賀市や名張市を中心とする伊賀地方は、大阪・奈良への通勤・通学圏であり、関西弁に近い方言が使われるなど文化面でも明らかな近畿圏に属します。
しかし、県庁所在地である津市や、四日市コンビナートを抱える北勢地域(四日市市・桑名市・鈴鹿市)は、中京工業地帯の中枢として名古屋都市圏へ強く組み込まれています。住民の就業先、商業施設の利用、さらには民放テレビの視聴環境に至るまで名古屋依存度が高く、生活者のアイデンティティとしては「東海地方」に強く傾斜しています。
一方、静岡県も特異なグラデーションを有しています。浜松市を中心とする西部(遠州)はスズキやヤマハといった輸送用機器・楽器メーカーが集積し、愛知県東三河(豊橋市など)と一体化した経済圏を形成しています。しかし、県東部(沼津市や三島市)や伊豆半島は、東京への新幹線通勤者も多く、生活基盤の多くが首都圏・関東地方へ向いています。静岡県全体が東海地方に数えられつつも、東部と西部で視線の向きが真っ二つに分かれている点が、この議論をより複雑にしています。