過激な下ネタや騒動ばかりがクローズアップされがちな『のうりん』ですが、本作が多くの熱狂的ファンを生み出した本質は、農業高校の過酷な現実と命の尊さを真っ向から描いた点にあります。
原作者の白鳥士郎氏は、舞台のモデルとなった岐阜県立加茂農林高等学校をはじめ、農家や農業関連施設への徹底的な現地取材を重ねて原作を執筆しました。作中では、後継者不足や耕作放棄地、遺伝子組み換え作物、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)の影響、鳥獣被害といったリアルな社会問題が鋭く切り取られています。
家畜を育て、自らの手で屠殺して「命をいただく」という食育の根源的なテーマを描いたエピソードでは、ギャグテイストから一変して登場人物たちが真剣に涙を流します。笑いとシリアスの強烈な落差こそが読者や視聴者の胸を打ち、単なる色物作品ではない本格派の農業青春ドラマとしての評価を確立させました。