当事者コミュニティや闘病手記の検証を行うと、希死念慮の回復経緯には一定の共通したパターンが存在することが分かります。多くの人が「ある日突然、完全に消え去る」という劇的な寛解を期待しがちですが、現実は異なります。
「当初は1日のうち20時間近く『消えたい』と考え続けていたが、治療開始から数ヶ月で『午前中だけ』になり、やがて『嫌なことがあった夜だけ』になり、波の間隔が数週間、数ヶ月と広がっていった」――こうした証言が示す通り、回復はグラデーションを描きながら進みます。
また、回復の過程で避けて通れないのが抗うつ薬治療と副作用の管理です。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などの薬物療法を開始した直後(初期の1〜2週間)は、悪心や倦怠感に加え、一時的に不安や焦燥感が高まる「アクチベーション・シンドローム(賦活症候群)」のリスクが報告されています。この時期に自己判断で服薬を中断すると、かえって病状が不安定化します。主治医と密に連絡を取りながら、頓服の抗不安薬などを併用して初期の身体反応を乗り越えることが、寛解へ向けた重要な関門となります。