カセットデッキの音質を決定づける最重要ファクター、それが「アジマス角」だ。
磁気ヘッドのギャップとテープの走行方向がなす角度は、厳密に90度でなければならない。わずかコンマ数度の角度ズレが生じるだけで、音楽の生命線である高音域(高域周波数)が劇的に減衰し、こもった音になってしまう。これがアジマスズレと呼ばれる現象だ。
オートリバースデッキの多くは、ヘッド自体を180度回転させる「回転ヘッド方式」を採用していた。だが、ヘッドが回転を繰り返すたびにストッパー摩耗や微小な傾きが発生する。往復で均一な超高音質を保つことは、物理の法則に対する果てしない挑戦だったのだ。