『にこにこ、ぷん』の主人公格である袋小路じゃじゃまる。フルネームからも伺える個性的な佇まいを持つ彼の種族は、実在のイリオモテヤマネコをもじった架空の生物「うらおもて山猫」です。「表は威勢がいいが、裏は寂しがり屋で甘えん坊」という二面性がキャラクター設計の根幹に据えられていました。
ネット上でも度々話題にのぼるじゃじゃまるの生い立ちですが、当時の脚本・設定資料および劇中の描写において、彼は「親の顔を知らないみなしご(孤児)」として明確に位置づけられています。じゃじゃまるの母親の真相について劇中で直接的な回想シーンが描かれることは稀でしたが、夕暮れ時になると一人で木登りをし、遠く沈む夕日に向かって「かあちゃん、どこにいるんだろ…」と呟く切ないエピソードが放送されました。このシーンは、当時の子どもたちの心に鮮烈な印象を残しました。
脚本を手掛けた井出隆夫氏は、完璧な家庭環境や優等生的なキャラクターだけでは描けない「現実の痛み」と「そこから立ち上がる生命力」をじゃじゃまるに託しました。親がいない孤独を抱えながらも、弱音を人前で見せず、仲間たちと寄り添いながらたくましく島で生き抜く姿こそが、彼が長年にわたり愛され続けた最大の理由です。