本作において映画ファンの間で今なお議論されるのが、沢尻エリカが挑んだ過激かつ芸術的な濡れ場シーンの数々です。劇中では、窪塚洋介演じる愛人・南部との退廃的な情事、綾野剛演じる奥村を誘惑する計算尽くのベッドシーン、さらには寺島しのぶ演じるマネージャー・羽田との濃厚な絡みなど、女優生命を賭けたと言っても過言ではない体当たりの熱演が繰り広げられました。
一部で囁かれた「ボディダブル(代役)」の噂について、当時の制作関係者や劇場パンフレットの証言によると、「すべてのシーンを沢尻エリカ本人が演じ切った」ことが明らかになっています。蜷川実花監督が目指した「人間のむき出しの皮膚感覚と欲望の美学」に応えるため、沢尻はスタッフの人数を極限まで絞ったクローズドセットの中で、一切の妥協なくカメラの前に立ち続けました。
しかし、その代償は小さくありませんでした。あまりにも役に入り込みすぎた結果、りりこというキャラクターの持つ極度の情緒不安定や孤独感が沢尻本人の精神を激しく摩耗させました。公式発表資料や当時の報道によると、撮影終了後の2012年5月中旬から体調不良を理由にPR活動を一時休止。ジャパンプレミアへの欠席など世間を騒がせる事態となりましたが、初日舞台挨拶には見事に姿を現し、涙ながらに感謝を述べた姿は大きな感動を呼びました。