ネット上でミームとして流通する過程で、このセリフの受容のされ方には原作との興味深い「ギャップ」が生まれています。
ネット構文として使われる場合、多くは「自慢気」「イキリ(調子に乗った態度)」「過剰な演出」という意図的なネタ要素が付加されます。しかし、原作におけるキルアは決して調子に乗って自慢しているわけではありません。
当時のキルアは、一般家庭の温かさを知らず、殺人技術のみを叩き込まれて育った12歳の少年でした。仲間であるゴンやレオリオと打ち解け始める中で、「普通の人間の歩き方」と「暗殺者の歩き方」のズレを指摘され、少し気まずそうに、申し訳なさそうに頭をかきながら放ったのが「あ…わりィ」という言葉です。
つまり、原作のシーンの本質は「強者のイキリ」ではなく、「常識から逸脱した環境で育った少年の、日常への過剰適応と拭えない孤独」を描いた切ない一コマでした。この背景を理解した上で読み返すと、単なるカッコいい名言にとどまらない、冨樫義博作品特有の人間描写の深さが浮き彫りになります。