ルイーゼというキャラクターを巡っては、連載当時から完結後の現在に至るまで、SNSやアニメコミュニティにおいて激しい議論が交わされてきました。読者の意見は大きく二つに分かれています。
第一の勢力は、「ルイーゼに対する同情論」です。幼い頃に命を救ってくれた英雄に憧れて軍に入り、憧れの人の教え通りに命を捧げて戦ったにもかかわらず、死の直前に私物を冷たく奪い返されて放置された姿に、「あまりにも不憫」「ミカサの態度が冷酷すぎて見ていられなかった」という声が多数寄せられました。彼女自身は悪意を持っておらず、ただ信じる英雄の背中を追っていた純朴な少女だったという解釈です。
対する第二の勢力は、「自業自得・拒絶当然論」です。ルイーゼはザックレー総統爆殺を扇動したテロ組織の一員であり、軍律を乱して投獄された身です。さらに、他人の極めて私的で思い入れの強い形見同然のマフラーを勝手に持ち出して首に巻く行為は「境界線を踏み越えた異常な執着」であり、ミカサが情けをかける道理はないという厳しい視点です。
このように評価が鋭く二分される現象こそ、諫山創作品の真骨頂と言えます。正義と悪の単純な二元論ではなく、個人の純粋な感情が戦争と組織の狂気の中でねじれ、誰にとっても救いのない悲劇へと発展していく構図が、読者の倫理観を強く揺さぶり続けています。