ニキビ(尋常性ざ瘡)は毛穴に皮脂が詰まり、アクネ菌が増殖して起こる一時的な毛包の炎症であるため、毛穴の詰まりが解消されれば自然治癒が期待できます。一方、粉瘤(アテローム・表皮嚢腫)は「皮膚の下に表皮と同じ細胞でできた袋状の腫瘍が形成される病気」です。構造そのものが根本的に異なります。
皮膚の表面にある角化細胞が、何らかの原因(外傷、ウイルス感染、毛包の陥凹など)によって真皮や皮下組織に入り込み、巾着袋のような空間を作ってしまうことが発症の契機です。この袋の内側は皮膚の表面と同じ性質を持っているため、毎日絶え間なく新しい角質を作り出し、古い角質を袋の内側に剥がれ落とし続けます。袋には自然に消滅する機能が備わっていないため、粉瘤が自然治癒しない理由は極めて明快であり、物理的に袋を丸ごと摘出する以外に治癒の手段は存在しません。
「市販の塗り薬や市販の軟膏で治せないか」と考える方も大勢いますが、アテロームの自宅治療には大きなデメリットしかありません。市販の抗炎症外用薬や抗生物質入り軟膏は、皮膚表面の軽微な傷には有効でも、真皮の深層にある嚢腫壁や内部の角質を溶かす作用は一切ありません。薬を塗って放置している間にも袋は徐々に角質を溜め込み、目に見えないところで肥大化を続けていくことになります。