十代後半を迎えた柳楽優弥を待ち受けていたのは、あまりにも重すぎる「天才子役」「カンヌ最年少」というレッテルでした。出演オファーが殺到する一方で、「自分は本当に演技ができるのか」「求められているのは過去の幻影ではないか」という自問自答が続き、心身のバランスを崩す事態に直面します。
一時期は体調を崩して休養を余儀なくされ、ストレスから体重が激増した姿がメディアに取り上げられるなど、俳優としての道が危ぶまれた時期もありました。そんな混迷のなかで彼が下した決断が、あえて芸能界から距離を置き、社会の現場で働くことでした。
自動車ディーラーでの洗車アルバイトや居酒屋での接客業務を経験し、1日に何十台もの車を磨き続ける日々。特別扱いされない環境で汗を流し、一人の人間として社会と向き合ったこの期間こそが、彼の慢心を打ち砕き、「もう一度、ゼロから俳優として生きていきたい」という強い覚悟を芽生えさせる決定打となりました。