地方公務員の肖像権はどこまで?窓口撮影の違法性と2026年判例の真相

地方公務員の肖像権はどこまで?窓口撮影の違法性と2026年判例の真相

地方公務員の肖像権はどこまで?窓口撮影の違法性と2026年判例の真相についての真相を徹底解説します。

「肖像権の侵害は民事の問題だから、その場ですぐに撮影をやめさせられないのではないか」という疑問を持つ方もいるでしょう。しかし、行政実務には非常に強力な法的防壁が存在します。それが地方自治法に基づく「庁舎管理権」です。

地方自治法第238条の4に基づき、自治体の庁舎は行政目的を達成するための「行政財産」と位置づけられています。自治体の長(知事や市区町村長)は、庁舎内の秩序を維持し、円滑な公務の執行と来庁者のプライバシーを保護するために包括的な管理権限を有しています。

現在、全国の都道府県や市区町村では、以下のような厳格な「庁舎内撮影・録音等規制ガイドライン」が運用されています。

  • 庁舎内での無断撮影・録音の全面禁止:申請や取材手続きを経ていない私的な撮影行為を一律で禁止する規定の明文化。
  • 不退去・撮影中止命令の発出:職員や他の来庁者のプライバシーを脅かす撮影者に対し、管理権に基づく撮影中止命令および庁舎からの退去命令を下す。
  • 名札のフルネーム見直し:職員の安全とストーカー被害防止のため、氏名の「名字のみ表記」や「職員番号・アルファベット表記」への移行。2024年から2026年にかけて政令市や特別区の大半で導入が完了。

庁舎管理権に基づく退去命令が出されたにもかかわらず、居座って撮影を続けた場合、刑法第130条後段の不退去罪が成立します。職員の肖像権という個人の権利にとどまらず、庁舎の秩序維持という行政権の行使によって、無断撮影者は即座に警察へ引き渡される法的スキームが整っています。

橋本 菜々子
著者

橋本 菜々子

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。