『名探偵コナン』の実写映像化は、2006年から2012年にかけて単発スペシャルドラマ4本、連続ドラマ1本(全13話)の計5作品が制作されました。最大の特徴は、主人公が「小学生の江戸川コナン」ではなく、毒薬APTX4869を飲まされる前の「高校生探偵・工藤新一」を主軸に据えた前日譚スタイルを採用した点にあります。
記念すべき第1弾『工藤新一への挑戦状〜さよならまでの序章〜』(2006年)で初代・工藤新一を務めたのは小栗旬さんでした。この起用は原作者の青山剛昌氏が「新一のスマートな佇まいと生意気そうな雰囲気を演じられるのは彼しかいない」と直々に熱烈オファーを出したことで実現した経緯があります。小栗さんは続く第2弾(2007年)でも続投し、卓越した推理力とナイーブさを併せ持つ高校生探偵を見事に体現しました。毛利蘭役には当時10代だった黒川智花さんが抜擢され、新一を一途に想い続ける可憐なヒロイン像を爽やかに表現しています。
2011年の原作連載15周年企画としてキャストが一新され、2代目・工藤新一に抜擢されたのが溝端淳平さんです。第3弾『工藤新一への挑戦状〜怪鳥伝説の謎〜』、その後の連続ドラマ版、さらに2012年の第4弾『工藤新一 京都新撰組殺人事件』まで新一役を一手に引き受けました。溝端さんは持ち前の快活さと情熱的な演技で、小栗版とは一味違う「直情型で人間味あふれる新一」を創り上げました。
この溝端版で毛利蘭役を務めたのが忽那汐里さんです。忽那さんは蘭のトレードマークである空手のアクションシーンに果敢に挑戦し、凛とした芯の強さを見せました。また、ドラマ版独自のサプライズとして登場したのが、西の名探偵・服部平次役の松坂桃李さんと遠山和葉役の岡本玲さんです。特に松坂さんは褐色の肌と関西弁を完璧にマスターし、原作から抜け出してきたかのような長身の立ち姿でファンから喝采を浴びました。