若者がスマートフォンで自撮りし、TikTokやX(旧Twitter)へ出来心で投稿した動画。それは投稿者の意図を遥かに超え、アルゴリズムの濁流に乗って拡散した。閲覧数という数字の快感に酔いしれる構造が、倫理観を容易に麻痺させてしまう。さらに問題動画はYouTubeのまとめ動画や物議を醸す反応動画として再生産され、デジタル空間で際限なく消費されていく。
視聴者を惹きつけるその構図は、あたかもNetflixの事件ドキュメンタリーを倍速で鑑賞するかのような刺激を人々に提供してしまう。過去にはNHKスペシャルをはじめとするテレビ番組でも、SNSが引き起こす過激化とネット私刑の悪循環が特集されたが、現場の歯止めは依然として効きにくい。バズという刹那の承認欲求と引き換えに差し出す代償は、あまりにも巨大だ。