一口に「流産」といっても、その経過や処置内容によって子宮環境の回復スピードには大きな差異があります。再度の妊活時期を判断する上では、ご自身の流産様式を正しく理解しておくことが欠かせません。
受精卵が着床した直後に育たなくなる化学流産(生化学的妊娠)の場合、子宮内膜は通常の月経と同様に剥がれ落ちるため、子宮体積や内膜に物理的侵襲はほとんど残りません。産婦人科の見解としても「実質的には生理と同じ」と判断され、出血が止まった翌周期から妊活を再開しても医学上の問題はないとされています。
対照的に、超音波で胎嚢が確認された後に心拍が停止する稽留流産で子宮内容除去術(掻爬術や吸引法)を受けた場合、器具による子宮内膜基底層への影響を観察する必要があります。術後およそ2週間から1ヶ月程度をかけて子宮内膜の修復が進みますが、内膜の厚みが十分に戻らないうちに受精卵が到達すると、着床不全の原因となる恐れがあります。
さらに見落としてはならないのが「体内におけるhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の残存」です。流産後も数週間から1ヶ月程度は血中および尿中に前回のhCGが残留することがあります。この状態で市販の妊娠検査薬を使用すると、実際には妊娠していないにもかかわらず「偽陽性」の反応が出たり、排卵検査薬がLH(黄体形成ホルモン)と類似した構造のhCGに誤反応して排卵日を誤認するトラブルが頻発します。流産後の妊活では、まず検査薬が一度しっかりと完全な「陰性」に戻ったかを確認するプロセスが不可欠です。