医療ソーシャルワーカー(Medical Social Worker:通称MSW)は、病気や怪我に伴って生じる心理的、社会復帰上、あるいは経済的な諸問題の解決をサポートする福祉の専門職です。厚生労働省が定める「医療ソーシャルワーカー業務指針」に基づき、医師や看護師などの医療従事者とは異なる「生活者の視点」から患者と家族を支える役割を担っています。
実際の現場における医療ソーシャルワーカーの仕事内容は多岐にわたりますが、中核となる支援領域は主に以下の4点に集約されます。
第1に「経済的問題の解決支援」です。突発的な大病や長期入院に直面した際、多くの家庭が直面するのが治療費の壁です。MSWは、自己負担限度額を超える医療費が払い戻される高額療養費制度や「限度額適用認定証」の早期申請を案内するほか、休業手当となる傷病手当金、障害年金、重度心身障害者医療費助成、生活保護の適用要件など、活用可能な公的扶助制度を整理して生活破綻を防ぎます。
第2に「療養中の心理的・社会的不安の緩和」です。「会社に迷惑をかけるため退職せざるを得ない」「幼い子どもを抱えて入院生活をどう維持すればいいか」といった、病室で一人抱え込みがちな生活上の苦悩を受け止め、院内の就労支援部門や外部の行政機関と連携を図ります。
第3に、現代医療において極めて比重が高まっている「退院支援・転院調整」です。急性期治療を終えた患者が自宅へ戻るための住宅改修や福祉用具の手配、あるいはリハビリを継続するための回復期病床や療養型病床への転院手続きを調整します。そして第4に、退院後の生活を見据えた地域包括支援センターや行政窓口への「社会復帰支援・地域連携」です。