日本のタイポグラフィ史を振り返ると、今日のデジタル書体に至る道筋には職人たちの凄まじい執念があった。写研や株式会社モリサワが牽引したDTP黎明期、印刷技術のデジタルシフトとともに多くの名作が生み出された。
なかでも小塚昌彦氏が手掛けた小塚明朝や、モリサワの金字塔であるリュウミンは、日本の出版文化の屋台骨を支え続けてきた。一方で、鳥海修氏をはじめとする書体設計家たちが追求した「水や空気のように読める」文字の思想は、游明朝体などの傑作和文フォントへと結実し、現代のスクリーン表示にも脈々と息づいている。