競馬コミュニティやSNS上では、エアグルーヴの一族について「気性が激しすぎて馬券的に扱いづらい」「ルーラーシップの出遅れ癖に見られるように致命的な弱点がある」といった論評が散見されます。しかし、現場の取材記録や実際のデータを精査すると、そこには誤解と本質的な強みが混在していることが浮き彫りになります。
主戦を務めた武豊騎手は、当時のインタビューでエアグルーヴについて「本当に走る姿が美しい馬だったが、同時にものすごい芯の強さとプライドを持っていた」と述懐しています。この激しい前進気勢や頑固さとも言えるプライドは、トニービンとノーザンテーストという名血がもたらした闘争心の表れです。
確かにルーラーシップのようにゲートの出に課題を見せる個体や、パドックで発汗が目立つ気性の激しさを露呈する産駒は少なくありませんでした。しかし、それは裏を返せば「他馬と並んだときに絶対に負けたくない」という爆発的な勝負根性の源泉でもあります。直線の長いコースや消耗戦の舞台において、最後の最後でギアをもう一段階上げる底力は、まさにこの気性の強さから生み出されていました。単なる「気性難」と切り捨てるのは早計であり、過酷なG1の舞台で勝ち切るための不可欠なスパイスだったと解釈するのが血統論の定石です。