フジテレビジョンの花形アナウンサーとして活躍していた彼女が、平成の大横綱と呼ばれた貴乃花光司との結婚を発表したとき、日本中に大きな衝撃が走った。報道・情報番組の現場で培った知性と伝える技術を一度横に置き、飛び込んだのは日本相撲協会という厳格な伝統が息づく閉ざされた社会だった。
部屋の女将として過ごした二十数年間は、表舞台の華やかさとは対極にある献身の連続だった。若い弟子たちの健康管理や生活指導、後援会との細やかな付き合い、そして世間の厳しい視線。フリーアナウンサーとしてのキャリアを中断してまで捧げたその歳月は、彼女の人生観をより深く、力強いものへと鍛え上げた。