『枕草子』第一段の文構造を深く把握するために、春の段の主要部分を品詞分解し、文法的な重要ポイントを整理します。
【原文】
やうやう[副詞]+ 白く[形容詞・ク活用「白し」連用形]+ なり[動詞・ラ行四段活用「なる」連用形]+ ゆく[動詞・カ行四段活用「ゆく」連体形]+ 山際[名詞]、少し[副詞]+ 明かり[動詞・ラ行四段活用「明かる」連用形]+ て[接続助詞]、紫だち[動詞・タ行四段活用「紫だつ」連用形]+ たる[助動詞・完了/存続「たり」連体形]+ 雲[名詞]+ の[格助詞]+ 細く[形容詞・ク活用「細し」連用形]+ たなびき[動詞・カ行四段活用「たなびく」連用形]+ たる[助動詞・完了/存続「たり」連体形]。
ここで注目すべきは助動詞「たる」の用法です。「紫だちたる」「たなびきたる」の「たる」はいずれも存続(〜している)を表しており、雲が紫がかった状態のまま、細く横に長くたなびいている静止した美しさを捉えています。
また、「雲の細くたなびきたる」の格助詞「の」は、主格(〜が)の働きをしており、「雲が細くたなびいている(様子が良い)」という構造を作っています。文末が「たなびきたる」と連体形で終わっているのは、文頭の「春はあけぼの」から続く「をかし」が背後に省略されているためです。