生理痛の範疇を超え、立っていられないほどの激痛、突然の吐き気、全身から吹き出す冷や汗、下痢、意識が遠のくような感覚に見舞われる場合、単なる体調不良として片付けるのは極めて危険です。
この激痛に伴う吐き気や冷や汗の原因は、子宮局所にとどまらないプロスタグランジンの全身循環にあります。子宮内膜から過剰に漏れ出したプロスタグランジン(特にPGF2α)が血流に乗って消化管に到達すると、胃や腸の平滑筋を急激に痙攣・収縮させます。これが激しい悪心や胃痛、下痢を引き起こす正体です。さらに、激痛という強烈なストレッサーによって自律神経がパニックを起こし、血管迷走神経反射が誘発されると、急激な血圧低下と脳貧血が起こり、冷や汗や失神へと至ります。
こうした極端な症状の背景には、子宮内膜症と月経困難症の真相が隠されているケースが多大です。月経困難症には、明確な病変がない「機能性月経困難症(10代〜20代前半に多い)」と、子宮や卵巣に器質的な異常が存在する「器質性月経困難症(20代後半以降に増加)」の2種類が存在します。
特に子宮内膜症は、本来は子宮の内側にしか存在しないはずの内膜組織が、腹膜、卵巣(チョコレート嚢胞)、ダグラス窩(子宮と直腸の間の窪み)などに生息・増殖してしまう疾患です。生理のたびに出口のない体腔内で出血を繰り返し、激しい癒着と炎症を引き起こします。自著や手記で壮絶な闘病を明かしたある女性編集者の告白には、「毎月、下腹部をナイフでえぐられながら内臓を引きずり出されるような感覚に襲われ、過呼吸で救急搬送された。診断がついた時には卵巣が拳大に腫れ上がっていた」という生々しい記録があります。痛みを我慢し続けることは、臓器の癒着を放置し、将来的な不妊症や卵巣がんリスクを蓄積させる行為に他なりません。