Webメディアや動画解説などで散見される誤解のひとつに、「無料のコードサイトの表記通りに弾いていれば原曲と同じになる」という思い込みがあります。
多くの簡易コード譜では、採譜の簡略化のために「A/C#」が単なる「A」に、「Bm/A」が単なる「Bm」に省略されています。しかし、この省略を行ってしまうと、前述した「1音ずつ下降していく美しいベースライン」が分断され、楽曲の持つ哀愁の6割以上が失われてしまいます。コードの響きが薄っぺらく感じられる根本原因は、指の技術不足ではなく、「ベース音の省略によるハーモニーの欠落」にあるのです。
また、「Bank Band版と斉藤和義版ではキーが違うのではないか」という噂も根強く存在しますが、公式なライブテイクおよびレコーディング音源を確認すると、櫻井和寿が歌うBank Band版も基本的に原曲と同じDメジャーで演奏されています。キーが違って聴こえる理由は、アコースティックギター主体の泥臭いブルースフィーリングに対し、Bank Band版はグランドピアノの低音とストリングスが重厚にコードを支えているため、音場全体の重心が低くドラマチックに響く構造上の差異にあります。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
本作のコード演奏に挑むにあたり、現在の自身のスキルレベルと目的に応じた選択をすることが挫折を防ぐ最大の防壁となります。
【原曲キー(カポなしD)での演奏をおすすめできる人】
- FコードやBmコードのセーハをある程度克服しており、親指を使った6弦ミュートや押弦に抵抗がない人。
- 斉藤和義本人がライブで見せる、無骨でアタッキーなアコギサウンドの質感を完全に再現したい人。
- 原曲の音源に合わせて一緒にギターを鳴らし、アンサンブルの快感を味わいたい人。
【まずはカポ2(Key=Cフォーム)から始めるべき人】
- ギターを始めて間もなく、まだ指先の皮が薄く、長時間のセーハコードで左手が痛んでしまう人。
- 自身の声域が斉藤和義よりもやや高く、カポ位置を移動させてボーカルのピッチを柔軟に調整したい人。
- 結婚式やステージでの弾き語り本番が間近に迫っており、ミスなく歌唱表現に100%集中したい人。