渡辺医師を語る上で欠かせないのが、自らを被験者とした24時間血圧測定(ABPM)の連続記録です。1987年8月24日にスタートしたこの自験研究は、入浴中も腕を上げて測定器を濡らさないよう工夫し、睡眠中・診察中・移動中を問わず、15分〜30分おきに血圧を記録し続けるという驚異的な執念によって成り立っています。
この膨大な連続ログから明らかになったのは、「人間の血圧は固定された数値ではなく、感情や些細な動作、気象条件によって1日に数万回単位でダイナミックに変動している」という客観的事実でした。
たとえば、以下の生々しいデータは従来の「診察室で測る1回の血圧」だけでは見抜けなかった病態の可視化につながっています。
- 仮面高血圧(早朝高血圧・夜間高血圧):病院では正常値を示すにもかかわらず、脳梗塞リスクが最も高まる早朝や睡眠中に急上昇する危険パターンの特定。
- ストレスと瞬間的急上昇:急な電話の受電、怒り、寒暖差(ヒートショック)によって、数秒で収縮期血圧が30〜50mmHg跳ね上がるメカニズムの解明。
- 生活刺激による即時降圧効果:深呼吸や特定部位の刺激によって、副交感神経が優位になり数分で数値が安定する現象の実証。