路上で生きる人々や社会の周縁に置かれた人々は、ポップカルチャーや映像メディアの中でも多様な表現で描かれてきた。今なお語り継がれる今敏監督のアニメーション映画『東京ゴッドファーザーズ』は、クリスマス夜の東京を舞台に、それぞれ事情を抱えた3人のホームレスが赤ちゃんを拾うことで巻き起こる人間ドラマを描いた名作だ。差別や偏見に晒される人々の人間味や絆を温かく描き出し、公開から年月が経った今も国内外で高く評価されている。
一方で、リアルな現実を切り取るメディアの役割も大きい。NHKが制作してきた数々のドキュメンタリー番組は、高度成長期の陰で取り残された労働者街の歴史や、現代の若者困窮の現実を淡々と追ってきた。また、Netflixなどのグローバル配信プラットフォームでも、日本の生活困窮や貧困ビジネスの闇に迫る長編ドキュメンタリーが配信され、世界的な関心を集めている。虚構と現実の双方から投げかけられる問いは、私たちが彼らに注ぐ視線のあり方を絶えず揺さぶっている。